うつヌケ

子育て支援の相談員として従事して4年。

保護者がうつ病のケースが多い。母親がうつ。父親がうつ。

うつのために子育てができない。うつのために働くことができない。

どうすればいいのか。

親がうつでも子どもはどんどん成長する。

子どもを保育園に預けて療養したい。子どもが保育園に行っている間だけは心身ともに休める。

 

私の身近な知り合いでうつになった人はいなかった。

うつの実情がわからない。相談員としてうつの方の相談を受けても本当のところがわからない。

 

自分が病気なのに子どもの世話をしなくてはならない、一家を支えなくてはならない、

きっと大変なんだろうな、ということは想像できる。

 

「うつヌケ」

手塚治虫に絵が似てるな。

図書館の本棚で見つけた。

副題には「うつトンネルを抜けた人たち」とあった。

 

ある時、

職場に一本の電話が入った。

「妻が急に亡くなった。子どもがいる。自分が働くには子どもを保育園に預けたい。どうしたらいいのか。」

 

私が以前相談を受けた世帯だった。母は子育てに悩み、疲弊していた。

もちろん担当の保健師にもケースワーカーにも母と子どもの状況、家庭の状況を伝えた。きっとなんらかの支援策を講じているとばかり思っていた。

 

母は自死だった。発見したのは夫。つまり子の父だった。母がうつだったかはわからない。

「うつヌケ」には、「「自殺」とは心のガンの症状のひとつでそれによる死は「その人の心の寿命だった」…と考えるべきなんです そう考えないと残された家族や周囲の人が命を救えなかったことで自分を責めるから」と書いてあった。

 

相談員として母を救うことができなかった。

いや、誰も救えなかった。

 

誰でもなり得る「うつ」という病。

予防することが大事だ。うつヌケできる支援が大事だ。